JTBパブリッシング 時刻表編集部 様|地域のニーズに応える。千葉県だけの時刻表を、1か月のスピードでPOD出版

鉄道をメインとしてバス・航空・船舶など、日本の全ての交通情報を網羅する、月刊誌『JTB時刻表』を発行する、JTBパブリッシングの時刻表編集部。 2025年4月号で、前身である『汽車時間表』の創刊から100年という節目を迎え、 創刊100周年を記念した各種キャンペーンも実施中です。
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そんな時刻表編集部が、POD(プリント・オンデマンド)を使って珍しい本を出版し、注目を集めました。2024年8月に出版されたその本は、『JTB時刻表 千葉県版 2024』。Amazonや楽天ブックス、三省堂書店といったPOD書店で発売中です。PUBFUN(パブファン)は取次会社として、これらの出版・販売をサポートさせていただいています。
今回は、株式会社JTBパブリッシング 時刻表編集部の梶原 美礼 編集長に、POD出版導入の背景やエピソードなどのお話を伺いました。

「本を出そうと思い立ってから、一か月で出版にこぎ着けました」
はじまりは「紙で読みたい人もいるのでは? 」
梶原編集長:私の在籍する時刻表編集部としては2024年から積極的にPOD出版を手掛けているのですが、それ以前にも別の編集部が弊社初のPOD出版を経験していました。『VISA HANDBOOK 2020年版』という旅行会社向けの冊子で、私自身もその時に出版方法について耳にしていました。
時刻表編集部での初めてのPOD出版は、『全国駅名あいうえお順一覧2019』という本です。これは元々『JTB時刻表』本誌の付録として期間限定でダウンロードできる電子書籍の企画だったのですが、紙の本で欲しい人もいるんじゃないかと思ったんです。
でも、通常の本として出版するには印刷コストなどのハードルが高い。そこで、せっかく売り物にするのならと、内容を充実させたPOD版を作って販売するという方法でやってみたのが、時刻表編集部としてのPOD第一弾です。付録の電子書籍版はJRの駅だけを掲載しているのですが、POD版は私鉄も含めて全国の駅名の一覧を網羅しているデータ本になっています。これは当時編集部のいちスタッフだった私が「やりたい!」と言って作ったものです。
JR京葉線のダイヤ改正のニュースがきっかけとなった「千葉県だけの時刻表」
梶原編集長:前回の本を出した後も続けてPODで商品を出していければいいなと思っていたのですが、毎月の『JTB時刻表』の制作もあるのでなかなか取りかかれない状態が続いていました。そんな中、去年(2024年)、私が編集長になったんですね。編集長になったことで、自分が出したいと思ったものを手掛けやすい状況になりつつ、新しいことをやらねばといった気持ちがありました。
2024年3月に、千葉のJR京葉線のダイヤ改正がありました。朝と夕方以降の快速・通勤快速の運行を取りやめてすべて各駅停車にするという内容で、利便性の低下という懸念により沿線の自治体から反発が起きているというニュースが話題になりましたよね。世の中が注目しているので、JTB時刻表に京葉線の時刻表を掲載したところ、反響がありました。
その後、京葉線沿線では快速増発を望む署名活動などがあり、9月にダイヤが再改正されることになったことが再び大きなニュースになりました。そこで、改正されたダイヤもJTB時刻表に載せようかと思ったのですが、京葉線のダイヤという限られた人にしか必要ない情報を、全国版の時刻表に短いスパンで載せる意義について考えてしまったんですね。ページ数も増やす必要があるので、原価もかかってしまいますし。
でも、京葉線のダイヤを見たいという需要は確かにある。じゃあ、その人たちに向けて何かできることはないかって考えた時に、「そうだ、千葉県版の時刻表を作ろう!」と思いついたんです。それが『JTB時刻表 千葉県版 2024』です。
それ以前に、JR東日本の千葉支社が千葉県版の時刻表を販売していたのですが、なくなってしまったんですよ。JRさんの千葉県版時刻表には、ローカルな情報、例えば、出発や乗り換えホームの番線などが載っていて便利だから買っていたんだ、なくなって残念、というお客様もいたんです。やっぱり紙で見たいよねっていう需要があることも分かっていましたし、編集部員の中にも千葉に住んでいて毎年買っていたという人もいたので、じゃあ自分たちで作ってみようかなと。
ただ、千葉時刻表を出すとなると、どうしても部数が限られてしまう。弊社として一般的な紙の本の形で出すには最低ロットが1万部とか作らなければならなくて。でも千葉だけの時刻表ではそんなには刷れないので、会社としては企画が通らないんです。
そこで、POD出版という選択肢が出てきました。PODだったら読者の注文に応じた印刷ができますから、基本的に在庫も抱えません。「本の中身は全部編集部で対応しますので人件費もあまりかかりません、社員で頑張りますので!」とひとまず社内会議を通して(笑)。とにかく一回出してみなきゃと思って、急いで制作を始めました。
JRさんにも時刻表を商品化するための申請が必要なのですが、その会議が月に一回しかなくて。企画が通るかどうかも分からないうちに作り始めなければならず、発売日直前までバタバタと準備していました。本を出そうと思い立ってから一か月で出版にこぎ着けました。
一般的な本の作り方との違いに、最初は戸惑った
梶原編集長:一般的な本とはデータの作り方が異なるので、手元にある一般の本向けのデータをそのまま使えるわけではないなど、最初は戸惑いましたね。
時刻表編集部にはDTPのソフトがあるので、デザイナーなどいわゆる組版の人を介さずに編集部でページを作っています。なので、POD出版用のPDFデータを作るにも、私がすべてを理解しておく必要があるんです。それをどう作るのかというところから試行錯誤しつつ進めていくのですが、今までにない仕事なので、余白のサイズが規定通りになっていないなどうまくいかない部分がありました。PUBFUNの担当の方が親身になって対応してくださって、そのおかげでなんとか出せたという感じでした。
ニッチなものでもお客様の手に届く形にしていきたい
梶原編集長:『JTB時刻表 千葉県版 2024』は、たまたま私がPOD出版を身近で見ていたこともあってPODなら作れると思えたとか、会議を急いで通せる環境になっていたとか、そういうことが重なったからこそスピーディーに出版できたと思っています。POD出版であればこそ実現できた企画です。千葉県の方や鉄道ファンなど、ニッチなニーズにも寄り添ったものが作れたと感じています。
昨今は紙代や在庫を持つための倉庫の使用料などのコストも高くなってきているので、それらを抑えられるのもPOD出版のメリットですね。ニッチなものでもお客様の手に届く形にできるように、今後もいろいろ手を広げていきたいです。
(2025年1月、オンラインにてインタビュー)
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