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CASE STUDY

パブファンセルフ出版体験談

トップ > パブファンセルフ出版体験談 > SNSもフル活用。読者の声をうけ、翻訳書をアマゾンで個人出版

CASE STUDY 翻訳書

「読者の欲しいをカタチに!」で古典翻訳を7冊。
秘訣は作る前から読者を巻き込むこと。

紙の本を読みたいという読者の声をPOD(プリントオンデマンド)で出版したアメリカ史の専門家 西川秀和さん

西川 秀和さん

西川 秀和さん

※記事中では、インタビュー当時のサービス名(ネクパブ・オーサーズプレス)で表記しております。

本を出版したきっかけ

意外に多い「やっぱり紙の本で読みたい」人

きっかけはとても些細なことでした。ある日、Twitterで「アメリカ西部の無法者ビリー・ザ・キッドの伝記が読めたらなあ」と言っている人を見かけました。私はアメリカ史が専門なので気になりました。そこで聞いてみると、伝記は古い英語で書かれていて難しくて読めないとのこと。それと翻訳があるなら読みたいと言っている人がたくさんいると教えてもらいました。

著作権が切れているので、「翻訳したら読みたい人はいますか?」と聞いてみました。すると、かなりの人が反応してくれました。それならと、最初はnoteというサービスに翻訳を少しずつ載せ始めました。

※note:文章、写真、イラスト、音楽、映像などの作品配信サイト。投稿作品は、無料公開と有料公開を選択できる。メッセージやコメントを通じた双方向の会話も可能。

noteの連載もそれなりに好評でしたが、「やっぱり紙で欲しい」という人が意外に多いんです。出版社に連絡をとってみましたが、専門的な、すごくニッチな本ですから、それほどたくさん売れるとは考えられない。だから無理ですとなりますよね。それなら、個人で紙の本を出せるサービスがあるはずだと、とあるプリントオンデマンド(以下、POD)のサービスを使ってみました。

実は別の本で過去にあるサービス提供会社のPODを使ったことがありました。確かに紙の本はできましたが、その会社のWebサイトでしか販売できず、ほとんど売れませんでした。

西川 秀和さん

NextPublishing Authors Pressを選んだ理由

Amazonという巨人の肩に乗せてもらう

もっといいPODのサービスはないかなと探していて見つけたのが、ネクパブです。「個人出版 紙」とか「個人出版 書籍」とか検索したら出てきたと思います。

なんといっても、Amazonで売れるというのが魅力でした。買う側からすると、すでにアカウントを持っていれば、Twitterで見かけたり、検索して気になるものが出てきたら「買おう」となる。それがあまり知らないWebサイトだとなかなか登録してくれません。思い立った時にすぐに買えるというはやはり強いですね。

それに、Amazonで出すと、検索からの流入が桁違いに多いんですよ。同じ内容をnoteに出していても、そちらが検索結果で上位表示されることはほとんどない。でも、Amazonの本だとすごく上に出る。古典を翻訳して個人のホームページで公開している在野の研究者もいますが、SEOの観点ではAmazonに全然勝てません。そういう人に、ネクパブを勧めたこともありますよ。私の表現では、「Amazonという巨人の肩に乗せてもらう」というやり方をしています。

実際に本を作ってみて

読者が何を欲しがっているか調べる

PODのいいところは、出版社がダメと言っても、読者が欲しいと言えば出せることです。それを生かすために、読者が何を欲しいと思っているかを、まず調べます。今出している本は、すべてnoteやTwitterでいろいろな人と交流して、「こういうのが欲しい」という人を見つけ、「他にも欲しい人いる?」と聞いてから始めています。先に需要があるんですよ。

例えば、自分の得意分野でどのような本が話題に上がっているかTwitterで検索してみるのもいいでしょう。私の場合は、出した本の後書きに「リクエストがあれば送って」とアドレスを載せています。そして、次に翻訳する候補の本が固まってきたら、今進めているものの進捗をツイートする時に、「次はこれをやろうかと思うけれど、欲しい人いる?」と聞いています。

ただ、Twitterは動的なコンテンツでどんどん流れて行ってしまうので、拡散はするけれど本当に買ってくれるかどうかは分からない。そこで、詳しい企画内容をnoteにまとめておきます。そして、「興味があればnoteの企画内容をじっくり見て、本当に欲しいと思ったら『いいね』をしてね」とツイートする。それで欲しいと言った人が100人いれば、実際に作業をスタートするというのが目安です。

noteはコンテンツを有料販売できますが、アクセスが1万あっても、有料購読してくれたのが3~4人ということもありました。それが、PODで紙の本にすると、1000リツイートで50人とか100人が買ってくれたこともあります。やっぱり、紙の本がいいんですね。電子よりも紙のほうが所有している実感がありますよね。

PODは、出版社がダメと言っても、読者が欲しいと言えば作れる。ただ逆に、薄利多売には向いていないシステムだと思います。大量に売るのではなく、欲しいと思っている人の絶対数は1000とか2000だけれど、その人たちはどうしても欲しいし少々高くても買うというものが向いているでしょう。

本作りでこだわった点

読者を巻き込んで作る

本は独りではできません。最初は独りでやっていました。でも限界を感じるようになりました。私は翻訳はできますが、地図も表紙もきちんと作れません。簡単なものならできますが、一般販売するとなるとどうしても協力者が必要です。そこでTwitter上で募集しました。すると、校正や挿絵、地図や表紙などいろいろな作業を分担して引き受けていただけました。ほとんどが読者ですね。

私は、「読者の欲しいをカタチに!」という言葉を大事にしています。読者と相談しながら作れるのがPODのいいところです。読者の要望にきめ細かく応えるということですね。地図が欲しいという声があれば地図を入れますし、挿絵が欲しいという声があれば挿絵を入れます。せっかくTwitterのような作者と読者をつなげるツールがありますから使わないともったいないです。

もちろん、手伝ってくれた方には、薄謝ではありますがきちんとお金を払います。将来的にはもっとお渡しできればと思っています。お金はいろいろな人に回したほうがいいですからね。それに挿絵を描いてくれる絵師さんにはその絵師さんのファンがいて、その人たちに「こんなところに載ったよ」と広めてくれます。そういった薄謝の他に、調べるのにいろいろとお金がかかりますが、今はすべての本で黒字になっています。少なくともかかった経費はすべて回収できています。

出版後の状況・反響

Twitterで宣伝する時には画像が必須

私は古典を翻訳すること自体が楽しいのですが、それでも赤字になったらしょんぼりしますよね。だから、作った後の宣伝活動は重要だと思います。拡散力が強いのは、やはりTwitterです。

Twitterで宣伝する時はポイントがあって、絵がある方が拡散されやすい。だから特別な画像を用意します。私は、本の表紙と簡単な内容を書いたものを1枚の画像にして、ツイートしています。画像だと文字数制限が関係なくなるのでかなり詰め込めますし、しかも目立つ。これも作っていただきました。

開拓魂、炸裂!ポール・バニヤンの驚くべき偉業

それと読者には、「買った本の感想などを書く時は、表紙の写真を撮って画像付きでツイートしてね」と言っています。この時に表紙デザインのクオリティが重要になってきて、よくできた表紙やかわいい表紙だと、みんな喜んで本の写真付きのツイートをしてくれます。だから、お金を出してでもいい表紙にするのは大事ということになりますね。

もうひとつは、「どういう人に向けたメッセージか」をはっきりさせることが重要です。人は、ただ単に情報を並べただけではリツイートしてくれませんが、「〇〇な人向けですよ」と書くとリツイートしてくれる。例えば、「ポール・バニヤンの本です。バニヤンに興味ある人向け」というメッセージが入っていれば、それを見た人は「バニヤンに興味がある友達がいるから知らせよう」と思ってリツイートしてくれます。漫然と情報が入っていても、誰かに知らせようとは思わないですよね。逆に言えば、興味のない人、対象読者でない人に広まっても効果は薄くなります。

こういうことを言うと、フォロワー数が多いから宣伝がうまくいくのだと思われるかもしれません。でも私のフォロワー数は2000くらいです。特に多いとは言えないでしょう。でもニッチな分野なら、フォロワーは数百もあれば十分だと思います。フォロワーでなくても、その本に興味がある人はリツイートしてくれますから。問題は著者の信頼性です。きちんとしたものを続けて出すようにすれば毎回、買っていただける方も増えます。

西川 秀和さん

今後の活動予定

先行販売でさらなる新しいカタチを

実験的に先行販売をやろうと考えています。Amazonで一般販売する前に先に優待販売をするということです。現行のシステムだとネクパブではできないので、BOOTHを使います。今後、先行販売にも対応していただけると嬉しいです。

※BOOTH:同人誌やグッズなど、自作品をネット通販できるショップサービス。決済や発送の代行サービスも提供。

たとえばまず予約を集めて一気に100冊刷ると、1冊当たりのコストが下がります。その分、値引きができます。さらにBOOTHではPDFファイルを一緒につけられます。PDFファイルはすごく歓迎されます。紙の本は家でゆっくり読んで、電車の中ではスマホでPDFファイルを読むといった使い方だそうです。もちろん本の内容も大事ですが、読者の求める形式で提供するのが大事ですね。読者の欲しいをカタチにして、読者の欲しいカタチで売るということです。

プロフィール

西川 秀和 さん
大阪大学外国語学部非常勤講師。専門はアメリカ史、特にアメリカ歴代大統領に詳しい。
一般向けに『アメリカ人の物語シリーズ』(悠書館)、研究者向けに『アメリカ歴代大統領大全シリーズ』(大学教育出版)を刊行。
POD出版を活かして未邦訳の埋もれている作品を翻訳出版している。

無料の個人出版を体験してみてください!

パブファンセルフユーザーさんによる出版体験談、いかがでしたでしょうか? ご参考になれば幸いです。パブファンセルフは、会員登録やサービス利用料はもちろん、基本的に出版費用は無料です。読者からの注文のたびにアマゾンで1冊ずつ印刷・製本・発送されるPOD出版(プリント・オン・デマンド)なので、在庫も初期費用も必要ありません。
また、アマゾンで本を出版することの宣伝効果は絶大です。多くの人が一度は利用したことがあるアマゾンなら安心感もありますので、本を手に取りやすい利用者も多いことでしょう。

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みなさまにご利用いただけることを心よりお待ちしています!

ほかにも多種多様な方が出版しています

デザイナー 医師 栄養士 塾講師  パーソナルトレーナー うつ病経験者 
震災経験者 経営者 人事コンサルタント プログラマー 双子のママ FP 陸上自衛官  折紙作家 ジャズピアニスト