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CASE STUDY

パブファンセルフ出版体験談

トップ > パブファンセルフ出版体験談 > 自身の左半身麻痺と高次脳機能障害の体験談をアマゾンで個人出版

CASE STUDY 実用書

障害者になったからといって
社会とつながることを諦めたくない。

言語聴覚士の西村紀子さんとともに、自身の左半身麻痺と高次脳機能障害の体験談をAmazon POD(プリントオンデマンド)で出版した 下川眞一さん

左:著者 下川 眞一さん、右:西村 紀子さん

左:著者 下川 眞一さん、右:西村 紀子さん

※記事中では、インタビュー当時のサービス名(ネクパブ・オーサーズプレス)で表記しております。

本を出版したきっかけ

子どもの将来の足しになればと(下川眞一さん)

高次脳機能障害になった時は42歳やったんですけど、子どもが4人いてるんですよ。社会復帰は難しいな、大学卒業さすまでお金かかるし、どうしようかと。で、ある時ふと思いついた。リハビリしてかなりよくなったから、この体験を本にしたり、講演活動したらええんちゃうかと。それで、手記を書き始めたんです。本なんか書いたことない、シロートですけどね。

半年間書いて、リハビリの先生とか主治医の先生とか、何人かに読んでもらった。残念ながら、あまり反応はありませんでした。出版なんか、すぐにできませんよね。甘かったですね。でも、将来絶対に講演活動するぞと思って、書いた物はとっておきました。

何年かたって、大きなてんかんが起きて入院しました。その病院で、ST(言語聴覚士)の西村先生に会ったんです。退院する時、退院後の生活がちゃんとできるか指導員さんが自宅の様子を見に来るのですが、僕はちょっと疲れたんでソファに座らせてもらった。その時、たまたまその横に書きためた手記があったんです。それで、ダメ元で指導員さんに「これ西村先生に読んでもらいたいんです」って渡した。その指導員さんが、西村先生に「よかったらこれ読んでください」と渡してくれました。

何日かたって、子どもたちと夕食の時間だったと思いますが、電話がかかってきて、嫁が出ました。戻ってきた嫁がよろこんでいたんで、「これはええ話ちゃうかな」と思いました。そうしたら、西村先生から「今度のリハビリに、書いた物を全部持ってきてください」ということでした。それで、次のリハビリの時に書いてあった物を全部渡しました。

だから、出版のきっかけが何かといえば、子どもたちの将来の足しになればということです。

NextPublishing Authors Pressを選んだ理由

これは出版すべき、今ならPODがある(西村紀子さん)

事故や脳卒中などで脳損傷になった場合、手足の麻痺など見た目でわかりやすい障害の他に、高次脳機能障害や失語症のように、わかりにくい障害が起こることがあります。中でも高次脳機能障害はあまり認知されていないこともあり、うまく支援がつながらなかったりで、患者さんや家族さんが苦しむことがあります。

ちなみに、本の中でも説明していますが、認知や判断、社会生活に必要なものが高次脳機能です。高次脳機能障害では記憶力の低下やコミュニケーションがうまくいかないなどの症状が出ることがありますが、脳損傷はいわばハードウェアトラブルで、精神的トラブルではありません。このため、薬を飲んで症状が改善することはなく、長期のリハビリが必要になります。

高次脳機能障害で認知能力などが落ちても、その人自身の大元になるキャラクターは変わらない人が多いです。下川さんの場合は、元々社長さんとしてバリバリやっていた方で、社会と関わるのを諦めたくないという思いが強かったので、自分の経験を本にしたい、講演して人に知らせたいという行動に移せたのだと思います。

手記を全部見せてもらって、これはリハビリを担当する療法士さんたちも知っておいた方がいいと、当時勤めていた病院で講演してもらいました。その講演原稿を医療と全く関係がない友人に見せたのですが、そうしたら彼女がこれは出版した方がいいと、すぐに東京から会いに来ました。「編集を業者に頼むとお金がかかるから私がやってあげる。今ならオンデマンドの出版があるはずだから」と。

ネクパブを見つけてきたのは彼女です。私は、Kindleで売れるというのは知っていたのですが、プリントオンデマンドという仕組みは知りませんでしたし、下川さんも知らなかった。ネクパブはAmazonで売れるのがいいところで、それは友人も狙っていたと思います。

この病気は、誰にでも起こり得ます。この本を出版して、高次脳機能障害がどのようなものなのか、患者さんはどのように感じているのかを、社会に広く知ってもらうことは、意味があると思います。

実際に本を作ってみて

書き終わったら、次は営業活動(西村紀子さん)

病院で講演してもらったのが2017年の3月で、出版したいという友達が会いに来たのが5月。講演を聴いてから本を出すことを決めるまではすぐでした。それくらい、衝撃的だったんです。ひとつには、下川さんのキャラクターが濃いということもあります。社長さんとして借金を抱えた会社を立て直し、ユニクロより先にバングラデシュに工場を建てたようなビジネスマンが、42歳という働き盛りに突然、脳出血で倒れ、復職できずに鬱状態になってしまう。しかもお子さんが4人もいて。エピソードがドラマチックで、心を惹きつけるところがあります。だからこそ、一般の人も読んでくれるのではないかと思いました。

出版することになってからは、下川さんは執筆に忙しくなりました。私が「ここの話をもっと膨らませて」と言って、次のリハビリに「書いてきた」と持ってくる。それを読んで、「いや、ここはおかしいから書き直し」という感じで、半年から8カ月くらい毎週やりとりをしました。

原稿ができあがったら私たちの方で編集や出版の作業に入るのですが、下川さんの手書きの原稿を入力したのは別の患者さんです。この方は元々SEだった方で、お姉さんが「うちの弟にやらせてください」と言ってきたのです。やると決まってからは、新聞記事を入力したり、練習をしていたそうです。

下川さんの方はというと、原稿ができあがったら次は営業に回りました。年賀状を引っ張り出してお仕事関係の人や友人に電話したり、久しぶりに会う人にも「本を出すから買ってくれ」と。この行動を見て、社会の中で役割があるって、とてもすごいことだと改めて感じました。この頃、NPO法人設立の話も決定してきました。

出版にはお金がかかりますし、何よりこの本を買って欲しいし、高次脳機能障害について知ってほしい、そのため、クラウドファンディングをしていました。一口3000円で、返礼品としてこの本を送るという形にしていたのですが、このクラウドファンディングと変わらない金額を、下川さんご自身の営業活動で集めました。なので、出版する時点ですでに300冊くらいの受注は持っていたという感じです。

本作りでこだわった点

本作りも営業活動もリハビリ(西村紀子さん)

執筆している期間で、言語機能はものすごく回復してきました。整理して文章を書くこと、人とやりとりすることがリハビリに効果があるということです。他にも、表紙を描く人や入力してくれる人などとやりとりがありますし、営業活動でしばらく連絡をとっていなかった人と話したり、出かけていったり。いろいろな人とつながることが、すべてリハビリに役立ちます。

講演はその後もいくつもやっていますが、そういう場にも本を持って行って販売しています。本という物体があることで、そこで買った人がお友達に見せることもできるし、下川さんも本を見せながら営業活動できます。

実は高次脳機能障害の方が社会復帰するのはすごく大変で、うまくいけば配置転換で元の会社に戻れるが、そうでないと家に閉じこもって社会保障に頼るほかない。引きこもって誰ともつながりがなくなると、さらに気持ちが落ちて、症状も悪くなります。意欲がなくなるというのも、高次脳機能障害の症状のひとつなんです。だから私としては、元の会社に戻るか引きこもるかではない、その中間の方法はないかと考えて、NPO活動をしています。

出版後の状況・反響

まだまだ売りたいんですよ(下川眞一さん)

本ができてから、出版記念パーティーをやりました。それから、講演もいろいろお声がかかるようになって。病院の主治医の先生も、仲がいいので、気を利かせて病院の人たちにみんなこれを読んだ方がいいと配ってくれたんですよ。でも、看護師さんは、もうAmazonで買って持ってました。リハビリに行っても、実習生の人が僕に会うと「あ、この人なんですか」て。3人会ったけど、3人とも持ってた。いろんな人が僕の本を持ってて、「すばらしい」とか「よかった」とか言ってくれるのは、うれしいです。

聞いたところでは、こうやって出した本が1000冊売れたらヒットだそうです。僕は、なんぼかは本が売れてお金が集まるやろうなと、自信がありました。もう700くらいは売れたんちゃうかな。去年大きなけがをしてしまって営業活動ができてなかったんですが、今も本を売りたいんですよ。まだまだ当てはあるんです。2冊買うてやるよと言うてくれはる人もいるんです。

今後の活動予定

社会とつながることがリハビリ(西村紀子さん)

次の本の構想としては、下川さんについては出版後の自分を書いてもらい、社会とつながることが最大のリハビリだということを伝えたい。去年はけがで動きがとれなかったけれど、今年はまたいろいろなところに行って活動してもらい、社会とつながるところをまとめたいと思っています。元々、それがNPOの目的でしたから。

それと、今回は下川さんの話だけでしたが、いろいろな高次脳機能障害の人の話を集めた本を出したいなと思っています。高次脳機能障害は、まったく違う人格になる人もいるけれど、その人が持っている特性が良くも悪くも鋭敏化することが多い。今は余裕がないのですが、そういうユニークな人たちを集めた本を出したいなと思っています。

プロフィール

下川 眞一 さん
1968年大阪府生まれ。35歳で多額の負債を抱えた会社を引き継ぎ、3代目社長となる。

事業が軌道に乗り始めた42歳のとき、外出先で脳出血を発症、15時間におよぶ手術により一命を取り止めるも、左半身麻痺と高次脳機能障害が後遺症として残る。リハビリ入院を繰り返しながら職場復帰を目指すも、そのたびにてんかんを発症し断念。

社会復帰の思いを断ち切れず思い悩んでいる中で、自分に残された使命は「見えない障害と言われ多くの人が苦しんでいる高次脳機能障害について、当事者でしかわからない経験と思いを書くことだ」と考え、47歳から体験談を書き始める。しかし、原稿を発表する場もなく徐々に自宅に引きこもる生活となる。

48歳のときにてんかん発作で入院、リハビリを再開する。入院先の病院で、書きためた原稿を見せ「ぜひ話を聞いてほしい」と訴えたことで講演が実現、開業医向けの雑誌の取材、専門学校への講師依頼が入る。

2018年50歳で、「知っといてぇや これが高次脳機能障害者やで」を、言語聴覚士の西村紀子と共著でオンデマンド出版。講演活動など行いながら、再び社会復帰の道を探っている。

西村 紀子 さん
1992年 大阪大学人間科学部卒業
2003年 言語聴覚士 取得

老人保健施設、療養病院、リハビリ病院勤務を経て、現在は脳神経外科、訪問歯科に非常勤勤務。オンラインで言語リハビリを実施。医療、介護保険制度以外で高次脳機能障害者、失語症者の支援を行うために、2018年にNPO法人Reジョブ大阪2019年(株)くるみの森を設立。

Reジョブ大阪
https://www.re-job-osaka.org/

ワーキングマザーのレシピ「言語聴覚士のお仕事」
http://kurumin.jp/archives/category/言語聴覚士というお仕事

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